このブログでは「恋愛」というテーマで小説やポエムなどを書いていますが、当方が運営するインスタグラムや Lemon8 のフォロワーさんなど「読者の立場として考えると、やはりリアルな体験談は興味深いはず!」ということで、かなりハズいのですが、青春時代の甘酸っぱい思い出を、小説というかエッセイとして書いてみることにしました。
*実際にあった体験談ですが、登場人物は仮名となります。
一生分の恋愛運を使い切ったと感じた日
小学生の頃から一緒に過ごしてきた同級生に、他の小学校から来た同級生が加わり、中学では久しぶりに新しい出会いが訪れていた。
小学校でさえ、地域で1番大きな学校だったのに、中学校は更に人数が増えるから正直なところ、同学年でも会話したことのない人も結構いる。
クラスの定員は40名、しかも7クラスもあるから当然かもしれない。
小学生の頃も、人を好きになることはあったけど、その「好き」という気持ちは、友達の延長に過ぎず「惚れ込む」という感情とは程遠い。
あの頃は、好きな子に対し、ちょっかいを出したり、からかったりしていただけのような気がする。
中学では部活動があるので、他のクラスの人達との交流が少なからず増えるため、楽しみでもあった。
部活動って、クラスの子たちより共有する時間が短いのに絆が深まる感じが、なんだか心地よい。みんなが同じ目標に向かって協調していくから、そう感じるのかな。
2年生になり、同じ部活内の女子で"未来(みく)"という同級生のことを好きになっていた。
未来って、部活では常にレギュラーだし、学校での成績も常にトップクラスだし、めっちゃ可愛い(どタイプ)し、身長も僕と変わらないくらいあって、ある意味「ハイスペック女子」なんだけど、ド天然なところがなんとも愛らしくて…
部活動を通じて、日を追う毎に「好き」という感情は増すばかり。
ただクラスが違うので、もし同じ部活動じゃなかったら絶対に「好き」という感情は持たないどころか、話す機会すらなかったと思うと「今こうして出会えていること自体が奇跡なんじゃないか!」とか勝手に自己陶酔してしまう。
今まで、彼女の天然っぷりをイジってふざけていたけど、好きという感情が増す毎にイジるどころか話をする回数すら減っていた。
本当は、めちゃくちゃ話をしたいのに、何故か恥ずかしくて… 普通の会話ですらハードルが高くなってしまう。
僕は、もともとイケメンでもないし、運動や勉強が得意という程でもない、至って平均的な人間だから自分に自信が持てないんだよ。
「好きになるほど、自分から距離をとってしまう」とか、謎でしかないんだけど、実際のことだからどうしようもない。
だからといって「彼女のことを好きな僕」で酔いしれていては、単なるマスターベーションに過ぎないから、彼女と仲の良い子(女子部員)との会話に、なるべく割り込む努力をしていた。
未来と仲の良い同級生の"奈美(なみ)"は、部活もクラスも僕と一緒ということもあり、気兼ねなく話せる貴重な存在なんだ。
僕と彼女の中継役としての任務を勝手に与えられた形になってしまい申し訳ないけど、奈美も3人で話ている時はすごく楽しそうだし、僕が未来のことを好きだってことを知らないから、問題はないかなぁと勝手に判断している。
大好きな彼女を前にし、奈美を通して会話してる様は、ある意味カオスだけど、それが精一杯の努力だった。
未来に彼氏がいないことはリサーチ済みだけど「好きな人がいるのか?」まではわからないままだ。
しばらくすると、男子部員のエース的存在である"和真(かずま)"と未来が、めちゃくちゃ仲良く楽しそうにしてる場面を頻繁に見かけるようになり、部活の練習すら手につかなくなっていった。
こっちは補欠とレギュラーを行ったり来たりしてるっていうのに。
しかも、和真と未来は同じクラスだから余計に嫉妬してしまう。
別に僕と仲悪いわけじゃないのに、ついつい敵対視してるのが不思議でならない。なんかモヤモヤするんだよ。
その後、状況は更に悪い展開に…「あの二人、実は付き合ってるんじゃないの?」という噂もチラホラ出ていたので、すでに僕の心境は失恋モードへ突入。まだ気持ちも伝えていないのに…
未来の本心を知らぬまま勝手に失恋した心境にもかかわらず、彼女への恋心は増すばかりで「どうすれば彼女との距離を縮められるのか?」とか「あの親密な二人の間に割って入るにはどうすれば良いのか?」とか、一日中、彼女の事ばかり考えていた。
そもそも「彼女に好きな人がいるのか?好きな人がいた場合、それが誰なのか?」という情報は皆無だけど、彼女のことを好きな男子は、僕を含めて複数人いる事実を無駄に知ってしまい更に気持ちも萎えてしまう。
僕の性格が、人見知りだったり、色々と気にしすぎるタイプ(たぶんHSP気質)だからか、些細なことでも、つい気になってしまう。
その些細なことを気にしすぎると、その後に訪れるであろう展開を先回りして考えるんだけど、結果的に考え過ぎだったり、空回りしてしまったりと、ほぼ想定とは真逆の結果が待っているため、告白するなんて、僕にとってはエベレスト級に高いハードルなんだよね。
3年生になり、部活動も最後の試合へ向けて、皆、集中するようになると、未来や奈美と楽しく話す機会も少なくなっていた。
僕はコミュニケーション能力が低いから、腹を割って話せる親友なんていなくて、軽い感じで接することができる友人が数人いるくらい。その数少ない友人たちと、いつも笑える話ばかりで盛り上がり、知らぬ間に笑のセンスだけは向上していた。
僕には、なんの取り柄もないから、部活が終わった後、ほんの少しの時間だけ話す機会を作り、精一杯ふざけて、未来や奈美を笑わせることに必死だったような気がする。
未来と帰り道が同じなら、どれほど良かったことか。だからと言って彼女を送るとか、見え透いた行動をとることなんて出来ないし。
3年も夏に入り部活動も引退を迎え、もう未来と、余程の事がない限り、会うことも話をすることも無くなってしまった。
退屈な日々を淡々と過ごす中、他のクラスの女子から突然、呼び出される。
「ちょっと話を聞いてもらいたい子がいるんだけど… 」と廊下の端のほうへ向かう。連れて行かれた先には、全く話したことのない同級生がうつむいたまま立っていた。
2年の頃から好きだったと告白されたけど「今、好きな子がいるから… 」と本心を伝えて、その場を後にした。
「こんな僕でも好きになってくれる人がいるんだ」と、ちょっとだけ自分に自信がついた感じと「あの子の気持ちに応えてあげられなくて申し訳ない」という、もどかしさみたいなものが入り混じり複雑な気持ちになっていた。
10月、中学最後の体育祭。めちゃくちゃしんどい800m走に選ばれてしまう。全く得意じゃないんだよな。
特に楽しみでもない体育祭も、色々な競技に参加したり応援したりと、終わってみれば、満足感に浸っている自分がいて、毎回、結構楽しかったりする。
体育祭の後、未来のクラスの女子に呼び出された。その子の手には体育祭で使ったハチマキが…
「未来がね、ハチマキ交換したいんだって!」と彼女の名前の入ったハチマキを渡された。
めちゃくちゃ動揺してしまい言葉が出ない。
とりあえず教室に自分のハチマキを取りに行き「じゃ、これ」と渡すことしかできなかった。
体育祭の後のハチマキ交換は「好きな人と交換する」という、生徒間の恒例イベントのようなもの。
ある意味で告白とも取れるから、目の前にいるのは本人の友達でも、めちゃくちゃ緊張するんだよね。
数日間「なんで僕なのか?」と、散々考えたけど答えが見つからない。なんかの間違いなんじゃないか?」って、ずっと思っていると、ある日、僕のクラスの男子から学校帰りに手紙を渡された。
「未来から、渡しといてって頼まれた。読んでないから安心して!」って… それ絶対、読んでるだろ。
その手紙には「ハチマキのお礼と、1年の時から好きでした」という内容が…
手紙読んでるだけなのに心臓バクバクしてるし、頭の中バグっちゃって整理できない。
ウチに帰り冷静になって返事を書くことにした。好きな人への手紙なんて書いたことないし、文才もないから、今までの未来に対する自分の想いを正直に書いてみた。
絶対に叶わないであろう片想いの相手からの告白は「一生分の恋愛運を使い切ったなぁ」とまで感じるほどの出来事だった。
まさかの「両想い」に、何度、過去を振り返っても、そんな素振りは全く感じなかったことが不思議で、僕はどれだけ鈍感なのだろうか。
学校帰りに未来へ手紙を渡し、ちゃんと自分の言葉で想いを伝えた。
結局、付き合うことになったけど、側からみれば「不釣り合い」な二人なわけで、未来の彼氏がどんな奴なのか、他のクラスから確認しに来る奴がいたり、トイレで未来と同じクラスのヤンキー君に「俺の好きなやつと付き合ってんじゃねーよ!」と冗談半分でボコられるし…
外野の煩わしさとか、現実は結構しんどいことも多いなと感じることもあったけど、大好きな未来と一緒にいられることは、奇跡としか思えなかったから、未来と会う度にドキドキしていたなぁと。
その後、別々の高校へ進学したことで、会う機会も減り別れちゃったけど、この恋愛で学んだことは、その後の恋愛観や人生観へのターニングポイントになった大切な思い出となった。
想いを伝える行為は「告白」だけじゃない
「手紙とか、いつの時代だよ!」と言われちゃいそうですが、あくまでも遠い昔の体験談です。中学生がスマホを持つなんて出来ない時代でして… 当然、LINEやInstagramなんてないから、現在とはまた違った恋愛の形かもしれません。ただツールが少ないからこそのメリットもあったような気がします。
何も考えず、ひとりの女性を好きになり、付き合いたい一心で、様々なシチュエーションを考えたり、その過程で見えてくる彼女とのギャップだったり、自分の愚かさだったり、彼女には不釣り合いな人間だと思い込んでしまったりと、相手の気持ちを知る前に、その恋を諦めている自分がいて…
もし彼女がアクションを起こしていなければ、間違いなく「すれ違い」で終わっていたはず。
「両想いの二人が、それを知らずに想い悩み諦めてしまう」なんて悲しすぎますよね。
「付き合える見込みがない」とか「自分はあの人と釣り合わない」とか、自分の価値観だけで判断するのはもったいない!
見込みがないとわかっていても「自分の想いを伝えること」と「相手の想いを知ること」は必須で、それが必ず「告白」という形じゃなくても良いと思うし、そもそも「告白」となると異様にハードル上がっちゃうので、普段の会話や表情や仕草からだって伝わることもあって「告白せずに付き合ってた」なんてこともあり得ますからね。とにかく「君のことが大好きだよ」と"匂わす"ことが重要だと感じます。(ちなみに私のズル賢い戦略でもあります)
ただ、「会ってくれない、話すらしてくれない、ラインに全く返信してくれない」など、明らかに避けられているならばスルーすべきだとは思いますが…
恋をするほど人間力は高まる
人は恋をすると、人との関わり方を積極的に学習するので、恋愛に限らずコミュニケーション能力は上がるはずです。しかも恋する回数に比例し、その恋が困難ならば更に人間力はアップすると考えられます。「失恋は悲しい出来事だけど、その分、私は成長したんだなぁ」と思えれば、失恋も大切な経験値になりますよね。
その恋に、少しでも可能性があるならば… いや、可能性がなくても、後々、後悔のない恋愛をして下さいね。
あなたの恋が上手くいきますように。