恋愛小説
カフェを後にし駅へと急いだ。 目指すは当然、ユキの実家であるレストラン。 今夜もお店を手伝ってるはずだから。 さすがに、今夜はレストランで食事をする雰囲気じゃない。 とりあえず閉店まで、お店の前で待つことにした。 レストランの中を窓越しに覗いて…
「あー、でも、お店、抜けられないんですよー。お母さんの体調まだ良くないし。」 「そうだよね。無理言ってゴメン。」 「お昼と夜はダメだけど、空いた時間帯なら…… ダメかなぁ。」 「あっ!ランチタイム終わったら映画観に行きましょうよー!観たいのある…
" コイワズライ " を聴きながら寒空の下、ユキとふたり目的地へ向かう。 「良くないですか?この曲。」 「うん。めっちゃ声好きかも。」 「あとで、スマホにダウンロードしちゃお。」 「えーと、感想はそれだけですか?」 「わかってないなぁ、リク先輩は… …
僕には親友と呼べる友がいない。小学校の頃、友達に裏切られた経験が、今でも脳裏に焼き付いている。 ただ、具体的にどんな裏切り方をされたのかは思い出せない。本当に辛い経験をすると記憶がなくなるというけど、そんな感じ。 幼いころ、自転車に乗ってい…
彼女から「もう会えない」と告げられた数日後、僕は会社から異動を言い渡された。まだ入社2年目なんだけどな。人事異動もギリギリだ。1週間前に告げられる。 「またあの時のような通勤地獄を味わなければならないのか」と落胆していたが、今回の配属先は隣の…
高校を卒業後、就職した会社の新人研修が終わり、共に過ごした同期ともここでお別れ。それぞれ各支店への配属先が決まった。 配属先の通知は3ヶ月間の研修最終日。土日を挟み3日後には、新しい支店で働くことになる。 僕の配属先は自宅から150kmも離れていた…